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音声合成が日本語を読み間違えるとき — 同形異音・固有名詞・数詞
date: 2026-06-16
TTS
音声合成
考察
周辺トラブル最終回。画像・テキストときて、最後は音声。日本語TTSは「文字は合っているのに読みを外す」。表記の問題ではなく発音の問題で、固有名詞や数詞で特に出る(考察)。
表記ではなく“読み”のトラブル
画像・OCR・LLM は「字の形・字種」の話だった。TTS は
同じ表記から複数の読みが出るのが日本語の難しさ。漢字は表意文字で、
文脈がないと読みが決まらない。これは一般に知られた課題の整理。
1. 同形異音語(同じ表記・違う読み)
日本語は1つの表記に複数の読みがある語が多い(heteronym)。文脈を取り違えると堂々と誤読する。
| 表記 | 読みの候補 |
| 行った | いった/おこなった |
| 市場 | いちば/しじょう |
| 方 | かた/ほう/がた |
| 日本 | にほん/にっぽん |
| 一日 | いちにち/ついたち |
| 生 | なま/せい/き/う(まれる)… |
| 辛い | つらい/からい |
2. 固有名詞(人名・地名)
もっとも外しやすいのが固有名詞。難読・複数読み・当て字が日常的にある。
- 人名:「飛鳥(あすか/ひか)」「陽菜(ひな/はるな)」「心(こころ/しん)」。同じ表記で読みは人それぞれ。
- 地名:「田原」「日向」「国府」などは地域で読みが割れる。
- 社名・ブランド名・型番:正式な読みが決まっているのに一般読みに化ける。
3. 数詞・助数詞・単位
| 例 | 読みの揺れ |
| 1個 / 1杯 / 1匹 | いっこ・いっぱい・いっぴき(直前の数で音が変わる) |
| 3階 | さんがい/さんかい |
| 4日 / 8日 | よっか/ようか(曜日や日付で特殊読み) |
| 電話番号・型番 | 区切り・ゼロ(れい/ゼロ/まる)の読み |
4. 記号・英数字混在・韻律
- 「Vol.3」「AI」「%」「〜」「&」「/」をどう読むか(記号読み・英字読み)。A 和欧混植が音声側に出たもの。
- URL・メール・ハッシュタグの読み上げ。
- アクセント(高低)とポーズ(句読点・分かち書き)で意味が変わる:「はし」(橋/箸)、係り受けの切れ目。
5. 対策
- 読み辞書/ユーザー辞書を持つ。固有名詞・専門用語・社名は事前に読みを登録。
- SSML で読みを明示(
<phoneme> やルビ的な読み指定、<break> でポーズ、<say-as> で数・日付・電話番号の読み方を指定)。
- 数値・記号は入力前にフォーマット:「Vol.3」→「ボリューム3」、「3階」→意図した読みのかなへ、など前処理で確定。
- 重要箇所は聞いて確認。人名・金額・日時は誤読が事故になるので、合成後に人手チェックかフォールバック。
まとめ
TTS の日本語トラブルは「字」ではなく「読み」。同形異音・固有名詞・数詞・記号で、文字が正しくても発音を外す。対策は読み辞書 × SSML × 事前フォーマット × 重要箇所の確認。——これで画像・OCR・LLM・TTS と、日本語まわりのトラブルを画像の内と外で一巡した。入口(生成)から出口(読み上げ)まで、共通するのは「文字・読みの正確さは確定情報として人間/コードが押さえ、モデルには確率的な部分を任せる」という線引きでした。
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